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2014年06月16日

【論文紹介】哺乳類メスの社会的なphilopatryとdispersalの進化


The evolution of social philopatry and dispersal in female mammals.
T. H. Clutton-Brock and D. Lukas
Molecular Ecology (2012) 21(3):472–492


2年ほど前に開いた輪読会でのレジュメです。


イントロ

哺乳類のメスの社会構造は大きく2つに分けられる

メスがphilopatry
多くの種がこのタイプ
母系/血縁の繁殖集団を形成


メスがdisperser
血縁構造は見られない



メスにおけるphilopatryと分散の進化については30年以上も前から議論になっているが、いまだに混沌としている。
その理由として、philopatryおよび分散の定義が微妙に異なるからだ。

@ 集団遺伝学や個体群動態の分野では、
philopatryは出生個体群に留まる事、分散は出生個体群から移出する事、とする場合が多い。

A 分散を種内の雌雄間の平均分散距離の差で議論する場合
 問題点:仮に雌雄共に分散してもメスの平均分散距離が短ければ、
オスがdisperser、メスがphilopatryとされる

→ 「分散するか否かの要因」と「分散した際のその距離を決める要因」は異なる
 *分散するか否か ← 出生集団内の社会的要因
 *分散距離 ← ハビタットや性比などの生態学的要因
  これらは分けて考えなければならない

B 分散距離を正確に計る事が困難
→ 遠くへ分散するほど再発見率が下がるため過小評価をすることが多い
  出生後分散、繁殖分散の区別が曖昧。

本レビューでは
『出生地・出生集団を離れ、血縁関係のない異性個体と繁殖行動を取った場合に、分散したと見なす』



メスのphilopatryと分散の多様性

@メスphilopatry:メスは一生を出生集団で過ごし、他の集団への移動はほとんど無い

Aメスdisperser
A−1:繁殖メスがテリトリーを持つ(多くの齧歯類、食虫類、食肉類など)。
または1頭の繁殖メスを含んだ異性ペアもしくはグループ。
この“単一繁殖メス”では、亜成体メスは出生地から強制的or自主的に分散する事になる。
A−2:複数の繁殖メスがグループ内にいて、これらのメスは亜成体時に他グループから分散してきているため、そのグループ内に血縁メスはほとんどいない。(社会性の馬、熱帯性のコウモリ、クモザル、ウーリークモザル、アカコロブスモンキー、hamadryas baboon、African great apes3種など)
これらの種の多くは、繁殖メス間の社会的結合は弱く、定住オスが死んだりいなくなった場合には、そのグループはしばし崩壊し、メスは再分散する。

B性差無し:シャチやゴンドウイルカは雌雄と雌雄とも出生グループに留まる。しかし、繁殖は他のグループと行う。
ハダカデバネズミでは、ある程度のオスが分散し、メスは非血縁個体に選好性を示すが、基本的に両種ともphilopatryで、近縁間で交配している場合が多い

Cメスphilopatry and/or disperser:繁殖グループ内の上位メスや上位メスの近縁メスはphilopatryで、下位メスは強制的or自主的に分散する。ミーアキャット、ライオンやゴールデンライオンタマリン、red howler monkey, black-tailed プレーリードッグなど。


●メスが分散する要因

自主的:出生エリア/グループの中で繁殖機会の有無
・周辺メスとの相対的な大きさ、コンディション、発達度合いなど
・出生グループに上位メスがいるため(ミーアキャットなど)

強制的
・上位メスから追い出される→他のグループに入るか、新たにグループを作る
・グループが分裂する


メスがphilopatryであることの利益


●分散する際のコスト、デメリット
・出生地外の資源の分布状況に熟知していない→探索に時間を費やすために採餌時間が減少
(ミーアキャット:分散メスは定着メスに比べ体重増加率が低い)
→ 繁殖開始が遅れ、繁殖の機会の減少。

・熟知していない土地では捕食者と遭遇する危険性が高い
(white-footed mouse:分散メスは定着メスに比べてフクロウに発見される率が高い)

・分散個体は時には定着個体にも攻撃される
(ハイイロオオカミ:分散メスは定着メスの5倍の死亡率。アカホエザル:分散メスは半数近くが死亡)

●血縁個体との関係性
メスはしばしば非血縁個体よりも血縁個体に対して寛容で、これが繁殖成功や生存率に+の効果

ハタネズミ類:
・メスの行動圏は基本的に排他的だが、隣接する血縁メスの行動圏と大きく重複する場合がある。
・血縁メスの近くに行動圏を持つ場合が多く、こうしたメスは繁殖が早い、一腹仔数が多い、次の繁殖期までの生存率が高い
・繁殖メスが巣を共有して子供を一緒に世話することがあり、繁殖成功率を上げ、育児にかかわるコストを引き下げている。

prairie vole:共同繁殖が一般的で、エサ資源が乏しい時に一緒に育児をする姉妹が存在する場合、母個体の体重減少は抑えられる。

Alpine marmot:幼体は最初の冬を血縁関係の近い大きな冬眠グループで過ごした時の生存率が高く、血縁グループに入っているメスは繁殖率が非血縁グループよりも高い。

grey seal:血縁個体が近くにいると子供の成長が早く、また体サイズも大きくなる
アカホエザル:出生グループに留まった個体の繁殖成功率は高い

White-faced オマキザル:血縁グループにいると次期繁殖までの期間が短い。

ラット:血縁個体は資源や侵入者に対する防御にも協力的で、若い個体は年長の血縁者の存在がしばしば利益になる。母親が近くにいるメスはより多くの子を産む。

図1: 家ネズミの人為的なグループにおける生涯の繁殖成功度。標準化された生存期間中の出産数の平均。血縁で、かつ友好的な個体と一緒の場合にもっとも高かった。第一メスは非友好的で非血縁個体と一緒の時のみ繁殖成功が低かった。第二メスはいつも第一メスよりも成功度は低いが、友好的な血縁個体と一緒の時には第一メス程度に繁殖できた。


メスが分散することの利益

メスが分散をすることについて主に4つの利益が考えられる。

@ 資源や繁殖のチャンスが乏しい下位のメスがそのグループから逃れられる。
・多くの種で、下位のメスは資源や繁殖チャンスを上位メスにしめられている。
 yellow-bellied marmot:母娘間に競争があると娘の繁殖開始齢が遅れ、生涯の繁殖適応度が低下
・個体群密度が高いときに、限られた資源の獲得競争を避けるために分散。
・資源が枯渇しているときに、資源を求めるために分散
 カリフォルニアジリス:給餌エリアには非給餌エリアからの移入が見られる
・グループの個体数適切なサイズを上回ったときに分散率が上昇
 アフリカライオン:ハビタットに対する適切数を超えたときに、グループから分散が起きる。

A 理論モデルから、メス分散は血縁個体との間接的な競争を避けていると示唆されている。
しかし…
・母系血縁個体の存在が分散を促しているという証拠はほとんど無い。
root vole:若いメスを母個体と非血縁個体のもとにおいても繁殖抑制が起きるわけでもないし、分散が促されるわけでもない。

・繁殖メスは非血縁個体よりも血縁個体に対して寛容で、これは血縁個体が近くにいる事で分散率が下がる事を示唆している。
ミーアキャット:下位メスは、優占メスと血縁関係が強いと追い出されづらい。

図2:アカリスでは母個体が自分の娘に行動圏の一部を譲って、自分は別の場所に新たに行動圏を確立することがある。図は春繁殖に成功したメスの、春の行動圏と秋の行動圏の距離。
Keep territory:移動なし。 Share territory:娘と行動圏の一部をシェア
Bequeath territory:娘に行動圏の一部またはすべてを譲渡 
Juveniles:春生まれの子供の出生地から秋の行動圏の距離

春から秋にかけて分散したメス個体の適応度は、分散しなかったメス個体との差はなし。


B 捕食や移入オスからの子殺し回避。
移入オスによる子殺しが起きる時に、メスは子供を連れて繁殖グループから移出することがある。

C 分散する事で血縁オスとの距離的に離れて、近親交配を回避する。
ほとんどの哺乳類では近親交配回避のためにどちらかの性が分散する。
稀にオスが育児に参加するために、メスの方が分散する場合がある。

図3:white-footed mouseの近親交配によって生まれた個体(点線)と非近親交配によって生まれた個体(実線)を野外に放した場合の生存率。
図4:アカシカの標準化されたヘテロ接合度(横軸)と生涯の繁殖成功度(縦軸、LBS: Lifetime Breeding Success)の関係

メスが性成熟した際に、父親もしくは血縁オスが同じグループもしくは近隣にいて、性的に活発であれば、メスは繁殖抑制をするかグループから移出する。
dwarf mongoose、African wild dog:若いメスの出生グループの第一オスが非血縁個体ではなく、血縁個体だった場合、若いメスは分散する傾向にある
マウンテンゴリラ:出生グループの繁殖オスが1頭で、それが父親だった場合、若いメスは繁殖前に分散する。複数のオスがいる場合は、少なくても1回は出生グループで繁殖する。齧歯類の実験では、近県オスの存在がメスの分散を促す。
meadow vole:実験区の中に血縁オスと放すと、非血縁個体と放した場合に比べて多く分散した。

図5:white footed mouse。子どもと親を一緒にした場合の子供の性成熟頻度。オス・メスともに自分とは異なる性の親が一緒のときは性成熟せず。メスは単独よりも母個体と一緒の方が性成熟度合いが高い。一方、オスは父親の存在下で性成熟が抑えられた。



●メス分散は競争や迫害を避けるためというのはコンセンサスが得られているが、近親交配回避はメス分散の基本的な理由としてはまだ意見が一致していない。
・近親交配回避はそれ自体はメス分散の進化的な要因とはならない(オス分散でも良い)
・分散後も実際に血縁個体と交配を避けているというデータは無い。
Reindeer:メスが血縁オスのいる繁殖グループに移入する事を回避したというデータは無い
アメリカクロクマ:血縁個体との繁殖を避けている事は無い。

しかし、、、 齧歯類:分散メスが血縁オスとの繁殖を回避した例がある

これらの違いは種による移動性が挙げられる。
・孤立したり小さい環境で生活している比較的定住性の種:分散メスでも血縁個体と遭遇する機会が多く、血縁個体を識別する能力が発達している
・移動性の高い種:分散後に血縁個体と出会う機会が少ないので、血縁個体の認識能力が乏しく、出生後分散の距離は資源や空き空間、繁殖チャンスの影響を受ける。



メスphilopatryの種による違い

メスphilopatryが一般的で分散はコストがかかるということは、メスにとって出生地に留まる事が最適な戦略であることを示唆している。

単独メスが繁殖をするグループでメスが分散的になるのは、簡単に説明できる。若いメスが繁殖チャンスを求めて移出したり、上位メスから追い出されたりするからだ。

対照的に、比較的少数の複数メスが繁殖するグループで若いメスが分散しがちなのは、説明が難しい。
局所的なエサ資源の枯渇という訳でもないだろう。

従来、メス分散の進化について主に2つの解釈がなされてきた。

@ グループ内の個々のエサ資源が少なくグループ内で他者と競争が起きる場合、直線的な階級性と相互の協調性は発達せず、血縁個体と関係性を保つ事のメリットは低く、メスは資源競争を避けるために分散する。

これは霊長類においてWrangham(1980)が最初に提唱し、当初は霊長類学者を中心に広く受け入れられたが、最近ではその欠点が指摘されている。
・資源競争が類人猿の分散を促して、集中性を弱めているというデータはない。
・メスのphilopatryと、エサの質もしくはエサ資源の分布との関係性を明らかにした例は哺乳類全体においても無い。
・直線的なメスの階級性と協調性がメスphilopatryな環境で見られたとしても、この仮説の反証にはならない。

A メスの繁殖開始齢よりも長く繁殖オスが居座り続けるようなときにメス分散がおきる

・オスが比較的長命でメスの繁殖開始齢よりも長く上位オスとして居続けるような種では、メスが繁殖のために分散をする(熱帯性のコウモリや野生ウマ、great apeなど)。
・メスの繁殖開始齢よりもオスが早く失脚するような場合は、メスはphilopatryになる(多くの哺乳類)。
・多くの群れをなす鳥は、両生とも比較的長命であり、メスが性成熟したのちも父親もまだそこにいるので、近親交配が起きる可能性が高く、メス分散が一般的となる。


Philopatryの性差の進化

●オスがメスよりも分散的である理由
@ 性比がメスに偏っている集団に分散することで得られるオスの利益は大きい。
性比がオスに偏っている集団にメスが分散しても、適応度にそれほど変化はない。

A 分散によって失う利益はメスの方が大きい。
メスは繁殖においてエネルギー的に多大な投資が必要であるため、メスは血縁個体が周りにいる集団に留まるほうがコストを抑えられる。エサ量や個体群密度を調節した実験でも、メスにより大きく影響する事が支持されている。

B メスに分散する必要性が無い
メスが分散するより前に上位オスが入れ替わる事で若いメスが血縁オスと繁殖する可能性が低くなるため、高い分散コストをかけてまで分散する必要が無い。一方で、メスによる近親交配を避けるための定着オスとの繁殖回避は、オスに対して分散を促す事になる。

●オスがphilopatryになる例
第一オスが、メスの繁殖開始齢よりも長くその地位に留まり続けるとき、そのオスはそこに留まり続ける。このような状況下で、出生グループでは非血縁オスと交配できない性成熟メスは分散する事になり、一旦メス分散が進化してしまうとそれが一般的となり、オスにとっては上位オスが認める限り分散しない事が最適な戦術となる。

●両性がphilopatry
@ シャチ、ゴンドウクジラ:両性とも他のグループの非血縁個体と繁殖する。この雌雄共にphilopatryが進化した理由はまだ不明で、個体の分散コストを評価するのに良い例となるだろう。

A ハダカデバネズミ:雌雄とも出生グループに留まり、ときどき血縁個体間で繁殖をする。
しかし、最近の研究では、オスは分散し、メスも非血縁個体に選好性があると示唆している。


●鳥類との比較
@ 鳥類のオスはメスよりもphilopatryである方がテリトリーの防御に有利で、より利益を得られる。
一方、哺乳類は基本的に一夫多妻であり、土地よりもメスグループを防御する。

A 鳥類は育児にかかるコストに雌雄差がほとんどない。
哺乳類はメスに偏っているため、メスはphilopatryの方が有利。

B オスの繁殖期間がメスの繁殖開始齢を上回り、メスが非血縁オスと繁殖するため分散する。


ディスカッション
このレビューにおける主は4つの結論
@ Philopatryはメスにとって共通した利益をもたらす。例えば、エサ資源の分布や逃走経路などの詳細な知識を維持できる、母系血縁個体間の援助や寛容性を享受できる。一方、分散はしばしば生存率と繁殖成功においてコストを強いる。
A 出生グループ内でメスが成長して繁殖メスとなる種では、メス分散の頻度は資源や繁殖競争の程度、上位メスによる繁殖障害や抑制、血縁メスの存在、その個体自身の大きさや状態、などの生態学的・行動学的要因に影響される。
B メス分散の進化は、そこでのオスの繁殖期間の影響を受け、メスが近縁オスと交配しないようにするために起きる。
C 生態学的・進化学的要因が個体の分散/philopatryに与える重要性は、そのスケールによって異なる。例えば、血縁個体との繁殖回避は出生グループからの分散に重要な役割を持つが、それらが分散距離や分散頻度にも影響を及ぼすというデータはほとんど無い。

●今後に向けて
とにかく、分散とphilopatryの進化についての我々の理解はまだまだだ。
・野外調査に基づく研究は分散の頻度について記述していて、philopatryメスの繁殖率などについて言及しているものはほとんど無い。
・philopatryと分散がメスの繁殖成功度に及ぼす影響についてもっと考察しなければならない。
・分散距離の変異が、非血縁個体との繁殖の可能性や成功率に及ぼす影響について研究した例はまだ無い。
・血縁メスがいるグループからオスが分散する場合、その分散は非血縁パートナーを探すためなのか、近親交配回避なのかはまだ明らかになっておらず、この2つを区別できる操作実験が必要だ。
・出生グループからの分散後に血縁個体同士が出会う可能性と、一旦分散した後も近親交配を回避できるのかを知る必要が有る。さらに、分散後も近親交配回避できるという証拠がある場合、親しい個体との交配を避けているのか、血縁個体との交配を避けているのかを明らかにする必要が有る。
・構築されるグループの血縁構造におけるメス分散種とメスphilopatry種との間の違いを理解する事も大事だ。
・メス分散種で、メスの繁殖グループが非血縁関係にあるとき、階級制はそれほど発達しておらず、また協調性もほとんど無いことが示唆されている。しかし、これについてはメスphilopatry種などとのシステマチックな比較研究は行われていない。
・メスphilopatryとオスによるメスの血縁グループ防御についての可能性のある結論として、メスの選好性は、メスが分散して複数の繁殖相手から選択できる機会を持つ種よりも弱いのかも知れない。これは哺乳類と鳥類におけるオスの装飾の発現の違いも考慮できる。しかし、メスの選好性の強さや、メスの選好性がメス分散種とメスphilopatry種間でのオスの適応度の違いにもたらす影響について研究した例はない。
・メス分散の違いは、繁殖グループの動態や個体群密度の安定性に重要な要因であろう。メス分散の変異の個体群動態への影響はほとんど研究されていない。

まぁ、とにかく、まだまだやるべきことは沢山あるよ ┐(´д`)┌

posted by bigwest at 17:02| Comment(0) | 雑文(研究関係)

2014年06月05日

登山保険(山岳保険)加入のススメ

時々山に登ったりしますが、みなさんは登山保険(山岳保険)には入っていますか?


登山保険は「入らなきゃ」「入った方が良いんだよね」とは思いつつも、情報が少なかったりまとまってなかったりでどうして良いかわからず結局そのまま、という人も多いでしょう。


遭難した際に捜索活動に伴う遭難者側の費用負担は民間ヘリのチャーター代だけでも「1分1万円」と言われているようです。
他に救助に当たった山岳会員ら1人当たり1日1万〜5万円程度が、日当として請求されます。
これらはすべて本人負担です。
ヘリが90分飛んで、10人の人が捜索してくれたら、最低100万円です。


さらに、中央アルプスのある地域では、遭難者が出たときに保険に加入しているかどうかの確認が最初にされ、それに時間がかかって初動対応が遅れるという話も聞いたことがあります
(保険に入っていないと捜索規模が縮小されるのかもしれません)。


ということで、まとめてみました。

私が所属する登山サークルの人向けにまとめた内容です。
今日現在の情報であること。全てを網羅しているわけではないこと。
正確性には当然気をつけていますが、それを保証できないことを先にご了承下さい。
あくまでも参考にとどめ、必ず保険会社から説明を受け、疑問点は納得のいくまで質問して契約して下さい。




【登山保険の種類】

・単発(その都度保険をかける) or 通年(年に1度更新)
・ケガも遭難救助の費用も補償 or 遭難救助のみ補償

という観点からいくつかのタイプに分かれます。

そこで、以下のようにまとめました。

[1] 通年 – ケガ等も補償   
[2] 通年 – 遭難救助のみ補償 
[3] 単発 – ケガ等も補償 
  
  なお、単発 – 遭難救助のみ補償 は私には見つけられませんでした。
[4] 山岳登はんの定義

なお、すべて私が個人的に調べて解釈したものなので、誤解があるかもしれないし、また内容が変更になっているかも知れません。
保険を契約する際には必ず自分の登山スタイルを正確に伝えて、補償されるか否かを保険会社に確認するようにしてください。


【通年 – ケガ等も補償】

まず、自分が加入している傷害保険や自動車保険の会社に相談してみてください。
私は昔から加入している東京海上日動火災の傷害保険に「救援者費用担保特約」をつけることでカバーできることがわかり、年間400円の追加で済みました。

しかし、この場合、ピッケルやアイゼンなどの登山道具を使用する山岳登はんは補償の対象となりません。これについては[4] 【山岳登はんの定義】で説明します。

自分がすでに入っている保険でカバーできない場合も、まずはその保険屋さんに相談することをオススメしますが、新たに入る場合は例えばモンベルで出している「野外活動保険」があります。


死亡・後遺障害 100万
入院日額 1500円
通院日額 1000円
個人賠償責任 1億(誰かをケガさせたり、誰かの物を壊したりの補償)
携行品 10万 (自分の持ち物を壊したりしたときの補償)
救援者費用 500万 (捜索にかかった費用。家族などが遭難した付近まで来るための交通費など)

のプランで年間9370円のようです。
これらは登山時以外の日常生活でも保障されます。
まぁ、普通の個人賠償傷害保険に救援者特約を付けたものですね(私が東京海上日動火災で入っているものです)。

ただし、以上は上述の「登山道具を使わない」場合です。
登山道具を使った登山時にケガをしたり、ケガをさせたり、遭難しても補償されません。

この場合は、山岳保険(運動危険補償特約付傷害総合保険)です。
上記とほとんど同じ補償内容で 21,090円です。


【通年 – 遭難救助のみ補償】

自分のケガや他者への補償はいらない。とにかく、捜索費用だけでも、という方には

JRO(ジロー:日本山岳救助機構合同会社)の山岳避難対策制度が良いのでは?


これは共済的な保険で、年間保険料は2000円+事後分担金というユニークなシステムです。
捜索費用として最大330万円までが補償されます。
そして、
(1年間にこの制度が支払った補償金額)― (加入者×2000円)
つまり、年間保険料だけでは足りなかった分(赤字分)を加入者全員で公平に後から負担する、という制度です。
ここ数年は分担金は1500円程度で推移しているようです。
つまり、年間の保険金は実質的に4000円以下というところでしょうか。

ちなみに、上述のJROのホームページは救助法などのコラムや、メルマガもあるようなので、保険に興味なくても目を通すと良さそうです。


【単発 – ケガ等も補償 】
私が調べた東京海上日動火災では単発の登山保険は国内旅行保険でまかなわれます。
最短で1泊2日なので、日帰り登山でも1泊2日での契約になります。

保険見積もり.jpg

こちらは東京海上日動火災の代理店に作ってもらった登山道具を使用する山岳登はんの場合と使用しない軽登山でのそれぞれ1泊2日での見積もりです。
登山道具うんぬん、は次の【山岳登山の定義】で説明します。
登山道具を使用しない場合で同じ補償内容なら、6泊7日でも1407円なので、年間数回しか山に行かない人は単発でも良いかもしれませんね。

また、docomoとソフトバンクユーザーは数百円から加入できる単発の保険もあります。

ドコモワンタイム保険 / ソフトバンクかんたん保険

*2014.7.22追記
Yahoo!でも単発の保険を開始したようです。
Yahoo!保険 山大好きプラン
1日440円から加入できるようですが、保証内容を見るとスモールセットでは少々不安ですね。
(*ここまで追記)

ただし、遭難した場合の捜索費用が補償されるか、自分の登山形態が保証対象かは隅々まで内容を読んで確認して下さい。


【山岳登山の定義】

何度か「登山道具を使用する場合」というような説明が出てきました。

ハイキング程度の軽登山と、ピッケルやザイルなどを使う本格的な山岳登はんでリスクが違うと言うことは想像にたやすいでしょう。

保険会社では山岳登坂か否かを使用する道具で区別しています。
そんなのナンセンスだろ!と思うかもしれませんが、しょうがないです。

では、何を使うと山岳登坂になるかというと

「ピッケル、アイゼン、ザイル、ハンマー などの登山道具」

です。

ポール(ストック)、山スキー、スノーシュー、かんじき は山岳登坂を定義する登山道具に含まれません(東京海上日動火災の場合)。

個人的にはアイゼンで登る往復数時間の山より、山スキーで登る八甲田山のほうがよっぽどリスクが高いと思うのですが…
ということで、アイゼンは持ってないので、私は雪山はスノーシューか山スキーで「軽登山」の補償範囲で楽しもうと思いました。



------------------------------------------------------

私からの情報提供は以上です。

ここからは個人的な感想です。

[2]の遭難救助のみ補償は年間4000円以下と少額で魅力的ですが、私は傷害や賠償保険に入ることをオススメします。

山で他人を傷つけたりなんてなさそうですが、例えばシングルトラックの狭いところをすれ違うときに思わずザックがぶつかって相手が谷に転落、、、なんてことは十分にありそうですよね。
これは大きな事故ですが、他にも小さい事故としては雨の日の滑りやすい下りで自分が転んで前後の人を巻き添えにしてケガさせてしまう、とか、突風でバーナーが倒れて隣の人のグローブを焦がしてしまうとか…

また、自分の物でもカメラを落として壊した(私の実例)場合も補償対象だし、もちろん自分のケガもです。

さらに、登山時だけで無く日常生活でも保障されます。

私も、チャリでコケて骨折だの、隣の家のガラスを割っただの、友達のチャリを壊しただの、酔っ払ってコケて足をくじいただの、ボクシングの試合で顔面骨折しただの、ソフトボールで肋骨を折っただの、まぁまぁ子供の頃からかけた保険料相当の保険金を受け取ってきました。



パーティーのうち誰か1人が保険に入っていたら、捜索費用はその人の保険で払えるんじゃない?

と考えるかもしれませんが、それは無いと思います。

仮に5人のパーティーで捜索費用500万かかった場合、おそらく保険会社は1人あたりの捜索費用を100万と査定するでしょう。
仮にその5人のうち、2人がJROの330万円まで補償する保険に入っていたとしても、その二人の上限の合計660万円から500万円が支払われる事は無く、100万円×2人で200万円までしか支払われないと思います。

結局、保険は個人で入るものなのです。

迷ったら先送り、ではなく、今すぐ保険会社に連絡を!!




posted by bigwest at 18:10| Comment(0) | 雑文(日記?)

2014年05月30日

クマ撮影会

1ヶ月ほど前のGWの話ですが、私が講演や原稿でいつも写真をお借りしているカメラマンの方にお誘いを受けてクマを撮影しに行ってきました。

以前にもお誘いを受けていたのですが、その時は空振りに終わりました。

それもひとえに私のクマ運のなさ(クマ運についてはこちら)に尽きると思うのですが、申し訳なくてクマ運の話はその方にはお話ししていません。。。

さて、今回はリベンジなるか!?






「昨日はここにいたんだけどな、今日はいないかなぁ。。。」

と車を停めたところで私が見つけたのがカモシカ。
10259760_4132113479058_9040898735419414576_n.jpg

全体的に白い毛が多い印象です。

2人でカモシカを見つめていると、カメラマン友達が近寄ってきて、

「何見てるの? カモシカ?
 というか、そこにクマいるじゃん」

と指さした方向にツキノワグマが歩いてました。

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おー、全然気付かなかった!

と驚いていると、

「あれ、そこにテンもいるじゃん」

って。

すごいなぁ、この人。

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そして、そのテンは自分の顔よりでかいカエル食べてます。

こちらは動いていないのに、カモシカとクマとテンを同時に見るというなんともラッキーな状態でした。

そして、テンを見てる間にクマは木に登って居眠り開始です。

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とはいえ、そもそも写真の腕が無い上に、せいぜい300mm望遠、スタビライザー無し、しかも三脚忘れたという情けない自分に撮せる写真はこのレベルです。


「本職」のお二人は1本100万円以上もするカメラで狙ってました。

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その様子を失礼したのがこちら。

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ま、居眠りも1時間ほど続いたので、我々も昼食をとって一旦休憩。

しばらくして戻ると木から下りてムシャムシャ草を食べながら歩いてました。

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こちらも100mほどの距離を保ちながら1時間ほど追跡。
チラチラこっちを見るから、うちらには気付いている様子。
稜線を超えて向こう側に行ってしまったので、本日の追跡終了。

帰り際には見た目きれいでギャーギャーうるさいカケスもついでに撮影。

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ということで、お世話になっているカメラマンさんが撮られた写真はこちらです。




posted by bigwest at 19:10| Comment(0) | 雑文(日記?)