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2012年09月01日

札幌クマ出没状況


昨年、中央図書館付近でヒグマが出没してニュースとなりましたが、
今年に入ってからも札幌市内の従来出没しなかった地域での出没が相次いでおります。

昨日も真駒内駅周辺で目撃されたようです。

ここ数年の札幌周辺でのクマの出没状況を以下のGoogleマップに記載しています。
昨日(H24.8.31)までの状況を、札幌市のウェブサイトから引用しました。


より大きな地図で 札幌ヒグマ出没注意エリア を表示


青いマークが主な出没地点です。
マークが多くなりすぎるので、全ての出没地点を落としているわけではありません。

また、以前より頻繁に出没していた藤野辺りから中山峠方面は外してあります。

以下、昨年の10月7日8日のブログより抜粋してコピーします。

『こんな所に出るわけない』『いままでクマなんか見たことない』
という所での出没が多いのが、ここ数年の全国的な傾向です。

特に注意していただきたい場所は

 黄色のラインの郊外側

と、

 赤く塗った地域

です。

本州のツキノワグマの出没状況を見ると、生息地から河畔林を利用して市街地にアプローチすることがよくあります。

そこで、豊平川などいくつかの河川を指定してみました。

どこで厳重注意エリアを終了するかは迷うところで、根拠はありません。

例えば稲積公園や農試公園でとりあえず切っていますが、ライン上の緑地がそのまま新川通まで続いています。
これらを全て網羅していくと、市内全域が警戒地域だと言うことがわかると思います。

この記事を読まれた方もご自宅などにクマが出没する可能性をそれぞれ考えてみていだければ、対策という面でも有効ですし、クマのことを少しでもイメージできるかと思います。


例えば、可能性だけを言えば、発寒川→新川通→北海道大学→北大植物園および道庁→大通り
ということもあり得ることがわかるでしょう。


恐怖心だけをあおるつもりはありませんが、札幌は緑に囲まれた街であり、それは野生動物と遭遇する可能性がいつでも有る、という意識を持って生活していただければと思います。

繰り返しますが、地図中の黄色い線より郊外側にお住まいの方は、「いつ出没してもおかしくない」と考えて、特にお気をつけ下さい。

基本的に日の出・日の入り直後に行動が活発になり、住宅地に近い場合、夜中も活動する個体も多いようです。

・ゴミは朝出しましょう
クマは嗅覚が発達しています。残飯などを一度食べてしまうと人間の食べ物の味を覚えてしまい、その周辺に定着する可能性が極めて高いです。

・イヌの散歩は特に注意
 朝・夕は先述の通りクマの行動が活発です。
 イヌがいるから大丈夫、はむしろ逆で、猟犬のようにトレーニング
 されていない普通のペット犬ではむしろクマを刺激してしまいます。

・外出時に玄関のドアを開けるとき、帰宅時に車を降りるとき、ドアを開けたらすぐに出るのではなく、一呼吸置いてください。
 たまたまドアのすぐそばにクマがいて、襲われる例も多くあります。
 一呼吸置く事で、クマが気配を察して避けてくれることがあります。


・もし出会ったら、とにかく落ち着いて!!
 向こうも怖がっているので、自分(クマ)を守るために襲ってきます。
 決してクマを刺激しないように、ゆっくり後ずさりしてください。
 走って逃げるのは絶対ダメです。森のクマさん状態になる可能性大です。

・キノコ採りや釣りなどのレジャーで山には入るときは音の鳴る物を携帯してください。
 こちらからアピールする事で、クマが先に避けてくれる場合がほとんどです。
 しかし、できれば、クマ撃退スプレーを持参してください。
 1本1万円弱と高いですが、保険代だと思ってください。

ヒグマとの事故は、ツキノワグマよりも被害が大きくなります。

ぜひ十分ご注意ください。


注)今回の記事は、データはほとんどなく私の感覚によるものです。
 札幌市による出没情報も必ずご確認ください。
posted by bigwest at 13:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑文(研究関係)

2012年06月29日

クマ運


大学院生の頃、私の周りで 「クマ運」 という単語がよく使われていました。

特に何か理由があるわけでもないのに、よくクマを見る人を「クマ運がある
その逆を「クマ運がない」と言います。


現在、ツキノワグマを材料に研究している私は当然クマ運があっても良さそうなものですが、これが見事に全然無いのです。

博士課程の頃はヒグマ密度が比較的高い地域を1人でネズミを捕まえにササこぎをする毎日でしたが、一度も見た事はありません。

「今排出されたばかりの新鮮な糞」や「クマ以外に説明が付かない何か獣が逃げていく音」などは何度も見聞きして、ニアミスは有るのですが。。。

逆に言うと、これはクマに出会わない対策をきちんとしていた、とも考えられるので悪い事ではないのですが。

クマ運の無さは、例えばこんな感じです。

.学生時代、友人らととある月曜日から固定調査地で調査していました。
 金曜日の午後に札幌で用事があった私は、みんなで昼食を済ませた後に1人でその場を離れたのですが、私がそこを発った数分後にクマが現れたとのこと。

.世界一ヒグマ密度が高い事で知られる知床では、夏になると観光客が車を停めてクマの写真を撮っている風景がニュース映像などで知られています(これを地元ではクマ渋滞と呼ぶそうです)。
知床財団に4日ほど研修で伺った際にも、私の滞在中に続々とクマの目撃情報は集まるものの、結局一度も姿は見られず。

.県内に在住のアマチュアカメラマンの方が、「確実にクマを撮れるスポットがあるから」
ということで撮影に同行させていただきました。もちろん、その日もクマは見られず。
(ちなみに、この方にはクマ運の話はしていません。もう呼んでいただけないかもしれないので・・・)

.こんなクマ運の無さ(結局の所、捕獲作業などでしかまだ野生のクマを見た事がありません)を知った共同研究者で、いつも行動観察をしている方が「2日いれば確実に見れる」というスポットに案内してくれました。
3日滞在しましたが、ダメでした。


いや、良いんですよ。
私はクマを直接観察するような研究スタイルじゃないし、上述の通りきちんと対策ができている、ということなのかもしれないし。。。


しかし! ついに野生のクマに“遭遇”しました

先日、日帰りで岩手県内の山を登ったときの帰りの道中。
左右を畑に囲まれた1本道の集落で、オトナの個体が車の前を横切っていきました。

十分に距離はあったので、まったく心配することは無かったのですが、
この日も登山中に私の「クマ運の無さ」の話をしていたので、同乗者のみなさんが
クマ運解禁 を祝ってくださいました!


とはいえ、再来週からナキウサギの調査で1週間ほど1人で大雪山に籠もります。

このタイミングでクマ運解禁はとても怖い。。。
posted by bigwest at 21:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑文(日記?)

2012年06月09日

宮城県におけるツキノワグマの出没について

ここ数週間、宮城県内でツキノワグマが多く出没しており、マスコミ等で報道されています。

多くの報道の論調は
・5月末までで去年の3倍
・今までこの時期にクマがでることは無かった
というようなものです。

そこで、宮城県環境生活部自然保護課のwebサイトにあるここ数年の出没頭数のデータをまとめてみました。
slide1.jpg
この図は各年ごとの出没頭数の季節的な変動です。
これからわかるように夏(7〜9月)に出没頭数が増える事がわかります。
西日本では秋にピークを迎えますが、このように夏にピークを迎えるのは東北地方の特徴です。
slide2.jpg
興味深いのはこの図です。
これは各季節の出没数が年ごとに変動する様子です。
夏(7〜9月)をそのまま入れてしまうと、他の季節の変動が小さくなって見えづらいので、夏の出没数は1/5にしてあります。

注目すべきは春〜初夏(4〜6月)の出没数の変化です。
2007年以降は多い年と少ない年を繰り返しています。
今年のデータは6月5日までの値なので、今後も増える事が予想されますが、
「08年、06年に比べ多い感じはするが、驚くべき数ではない」
というのが私の印象です。

出没の理由としては秋の出没のケースから「山の中のエサが少ない」というのがたぶん正解でしょうが、正直なところわかりません。

また、この時期のクマにとっての食料は、ドングリなどの堅果に依存している秋にくらべて非常に多様であり、何がキーになっているのかを明らかにするのは極めて難しいと思います。

ただ、08年、10年、今年と、いずれも前年秋の出没が少ないことがわかります。
秋の出没が少ないということは、その秋は冬眠に向けた食いだめに必要なエサが十分にある、ということを意味し、さらにそのため冬眠中に出産したメスが多い事も示唆します。

このことから、春の出没が多い年は子連れの母グマが多く、授乳のため多くのエネルギーを必要としているのかもしれませんが、これについては出没個体の特徴(年齢、性別、子供の有無など)のデータがないので推測の域を出ません。

さらに、今回のように報道を見聞きすることによって、従来だったらクマを見ても情報として届け出なかったり、他の動物(大きめの黒い犬とよく見間違えられます)と思い込んでいた場合でも、県や警察に届けられるようになり積み上がることも考えられます。


いずれにせよ、全国的なクマの分布域の拡大や、いくつかの地域で個体数の増加が報告されていることから考えると、東北地方でもクマの生息数は増えていると私は考えています。
そのため、この春の出没は今年に限った「異常」なことではなく、今後も続く事が予想されるので、中長期的な対策をとることが必要でしょう。

クマの出没地域にお住まいの方は、十分お気を付け下さい。

*このことについて、6/11(月) 夕方のNHK仙台ラジオ「ゴジだっちゃ!」の気になるニュースのコーナーで解説する予定です。
posted by bigwest at 16:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑文(研究関係)