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2012年01月12日

サイレンサー付きクマ鈴


屋外作業やレジャーでのクマ対策に熊鈴は必須アイテムですが、山中以外でもチリンチリン鳴ってうるさくないですか?
サイレンサー(消音器)付きの熊鈴も売っていますが、ショップでは1500円くらいしてちょっと高いですよね。


私が昨年の夏以降活動してきた車を届けるボランティアの代表の山本みゆきさんは、レザークラフトの製作・販売(あと教室)をしています。
そして、彼女がこの度サイレンサー付きクマ鈴の販売を始めたので紹介します。

bell3.jpg

この写真では普通のクマ鈴のように見えますが、これはサイレンサーがはまっている状態です。


bell2.jpg

これは1枚目の写真の手前(見えている)側を下にして、ベルの底から撮したものです。
サイレンサーはこのようにベルの内側にはめて、音が鳴らないようにします。


bell1.jpg

そして、サイレンサーはストラップと一体型なのでこのように紛失の心配も無し。

そして、このストラップが本革で、彼女の手作りです。

値段は1個850円(送料別120円)です。

興味のある方は、

MMM Leather
山本みゆき



までお問い合わせ下さい。

【1/16 追記】
・ストラップ部分に1文字50円でネームを入れられるそうです。
・山本さんの連絡先を追記しました(本人の了承済み)

【2/6 追記】
・山本さんの連絡先を削除し、MMM Leatherのサイトにリンクするように変更しました。
posted by bigwest at 18:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑文(日記?)

2011年12月21日

耳垢と体臭の関係


日本人の耳垢にはカサカサ(ドライ)タイプとベトベト(ウェット)タイプの2種類があることは皆さんご存じでしょうが、このカサカサタイプはアジアに多い、と聞いた事がある方も多いと思われます(こちらの図1)。


それとは別に、日本人は欧米人と比べ体臭がきつくない、ともよく言われており、高校生の頃から 「もしかして耳垢のタイプと連鎖したりしてる?」 などと(たいした根拠もなく)漠然と思っていました。
「他人の耳掃除が趣味」という友人に記録を取ってもらい、その傾向は感じていました。


最近、とても面白い論文が出たのでご紹介します。


耳垢タイプは遺伝子で決まる

耳垢のタイプは ABCC11 という遺伝子上のある1塩基がG(グアニン)からA(アデニン)に置き換わった突然変異に由来しています(Yoshiura et al. 2006)。

GはAに対して優性で、メンデル遺伝をします。
ウェットタイプ:GG(優性ホモ)かGA(ヘテロ)
ドライタイプ:AA(劣性ホモ)

メンデル遺伝をするということは、子供の比率は以下のようになります。

両親ともにウェット
 GG x GG → GG のみ (ウェットのみ)
 GG x GA → GG:GA = 1:1 (ウェットのみ)
 GA x GA → GG:GA:AA = 1:2:1 (ウェット:ドライ=3:1)
片親がウェット
 GG x AA → GA のみ (ウェットのみ)
 GA x AA → GA:AA = 1:1 (ウェット:ドライ=1:1)
両親ともにドライ
 AA x AA → AA のみ  (ドライのみ)


耳垢タイプと体臭の関係

このG→Aという突然変異は、実際にどのような影響があるのでしょうか?

それはアポクリン腺の機能に影響してきます。
人間の汗はアポクリン腺とエクリン腺から分泌されますが、暑いときにかくようないわゆる汗はエクリン腺から出るものがほとんどです。

アポクリン腺はわきの下に多くあり、そこからの汗自体は無色・無臭なのですが、毛穴の一部に接している事から、皮脂などを含んでいます。
そのため、細菌が繁殖しやすく、体臭として臭いを発するのです。

そして、このアポクリン腺は耳の中や、乳輪、陰部などにもあります。

話が戻って、G→Aという突然変異ですが、これによりアポクリン腺からの分泌量が大幅に減少してしまうのです。

耳垢とは、外耳道(耳の穴)表面の皮膚が剥がれたものですが、これにアポクリン腺からの汗が付着して、ウェットタイプになるのです。

つまり、欧米に多いGGおよびGAは、アポクリン腺が活発→ベトベト耳垢&強い体臭
アジアに多いAAは、カサカサ耳垢&弱い体臭

となるのです。


突然変異はいつ起きたのか?(Ohashi et al. 2011)

興味深い事にアフリカではカサカサ耳垢の人はいません。
G→Aという突然変異が起きていないのです。

このG→Aの突然変異は2006世代前(95%信頼確率:1023-3901世代前)に起きたと推測されています。
ヒトがアフリカから世界へ拡散を始めたのが約3500世代前と言われているので(Schaffner et al. 2005)、この突然変異はヒトがアフリカを出た後に起きたものと考えられるのです。

さらに、アジア人とヨーロッパ人との分岐は約2000世代前と言われているので、この分岐後にアジアで起きたのかも知れません。


耳垢タイプと緯度との関係(Ohashi et al. 2011)

さらに興味深いのが、この突然変異で出来たAというタイプの頻度は、緯度と共に高くなるのです。
つまり、高緯度地域ほどカサカサタイプが多い、と言う事になります。

論文中ではアジア人、ヨーロッパ人、北米原住民でそれぞれデータが示されています。
ヨーロッパでも全体の頻度は低いものの、関係性は見られます。

このアポクリン腺の機能の低い(カサカサ耳垢な)Aタイプは出現した約2000世代前は氷期と呼ばれる寒い時期でした。

アポクリン腺の活性が低いということは、わきの下の汗が少ない、ということで寒い地域に適していたのではないか、と論文中では議論されています。

北米原住民でも同様の傾向が見られるのは面白いところです。

分布域の拡大を北に広げていったアジア人とは異なり、北米原住民はユーラシア大陸からアラスカ経由で北米に入り、分布域を南に広げていきました。

つまり、アジア人とは逆のルートです。
ということで、「北に行くほどA(ドライタイプ)が多いアジア人」に対し、
「南に行くほどG(ウェットタイプ)が多い北米原住民」ということになります。

北に行くほど汗をかかない方が適応的なのに対し、南下するほど汗をかく方が適応的、ということです。


北海道生まれの私の個人的な(経験的な?)意見としては、わきの汗は寒さに対してそれほどデメリットになるとは思えないのですが、果たしてどうなのでしょうか。。。

そして、この論文を読んでる間、記事を書いている間、ずっとわきの下が気になってしょうがなかったです。。。


参考文献
Ohashi, J., Naka, I. and Tsuchiya, N. 2011. The Impact of Natural Selection on an ABCC11 SNP Determining Earwax Type. Molecular Biology and Evolution 28: 849-857.
Schaffner S.F., Foo C., Gabriel S., Reich D., Daly M.J., Altshuler D. 2005. Calibrating a coalescent simulation of human genome sequencevariation. Genome Res. 15:1576–1583.
Yoshiura, K.-I., Kinoshita, A., Ishida, T. et al. 2006. A SNP in the ABCC11 gene is the determinant of human earwax type. Nature Genetics 38: 321-330.
posted by bigwest at 21:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑文(研究関係)

2011年12月08日

科捜研気分♪


先日、公開シンポでの講演を招待していただき、DNA多型学会大会に参加してきました。

この学会は、遺伝子分析に関する新しい手法の報告などが多く、参考になる発表もいくつかありました。
そういった性質から、各都道府県の科学捜査研究所(科捜研)の方も多く見られました。

科捜研や科警研と言えば、刑事ドラマでこんなシーンをよく見かけます。


  容疑者のDNAが、現場に落ちていた毛髪や血痕などのDNAと一致するのか?
  
  実験室っぽい室内の壁にあるPCモニターを眺める女優

  モニターには2枚の電気泳動のゲルの写真。

  1枚は容疑者、もう一枚は血痕。

  2枚のゲルの写真が重なり “一致” というメッセージが点滅



しかし、実際にはこんなことはあり得ません。
2つの試料が同一個体によるものかどうかは、あくまでも確率で判定されます。

例えば、こんな感じです。
  ・性判別の結果、♂ → 確率は1/2
  ・血液型 O型 → 日本人では約30%の割合なので、確率は1/3
  ・耳垢 カサカサ → 日本人では約80%の割合なので、確率は4/5
ということで、「耳垢カサカサなO型男子」は2/15の割合で存在することになります。

2つの試料(犯人のDNAと現場に残されていた毛髪)が、共に「耳垢カサカサなO型の男」の遺伝子を持っている確率は、
   2/15 x 2/15 = 4/225 (=0.017777....)
で、つまり、1.78%の確率で2つの試料は同一人物の物だ、となるわけです。

もちろん、実際に警察ではもっと感度の高い遺伝子領域(マイクロサテライトDNA)を10ヵ所以上使っており、その識別能力は1 / 77,000,000,000,000 と言われています。
実に100兆人に2人以下、という確率です。

私が四国でツキノワグマの体毛から個体識別を行った際には、0.005以下、つまり200頭に1頭の確率で検出できる感度で行いました。 (PDFはこちら

少々、感度が低い感じもしますが、四国の生息数は50頭以下と考えられている事と、体毛からのDNAということで解析成功率が低く、コストパフォーマンスとの兼ね合いから、それ以上の感度を求めませんでした。


このように、実際の個体識別は

   ○○%の確率で2つの試料は同一個体のものだ

と、結論づけられるわけで、“2つが完全一致” ということは無いのです。


さて、刑事ドラマの個体識別アプリです。

  こんな簡単にわかるアプリがあったらなぁ。。。

と以前から思っていたので、科捜研アプリを作ってみました。

上述の大会で話が盛り上がった某県科捜研の方にお見せしたら、とても喜ばれていたので
こちらにもアップします。

使用方法
1. ここ  をクリックして、ダウンロードして下さい。
  アプリ とは呼んでいますが、パワーポイントのスライドショーファイル(ppsx形式、143KB)です。
  ウィルスはついていないはずです(アップロード前にチェック済み。また、マクロは付いていません)。

2.ダウンロードしたら、そのファイルを開いて下さい。
  パワーポイントがインストールされているPCなら、ダブルクリックで開けます。
  パワーポイントがインストールされていないPCは、パワーポイントビューワー
  インストールして下さい。しかし、わざわざそんなことするほどの物ではありません

3.「解析結果を見る」 を一度だけクリックして下さい。


くだらなくて、ゴメンナサイ、、、

ちなみに、ファイル名はこちらが由来です。
posted by bigwest at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑文(日記?)